« 大阪LOVER < HOME > 近代建築で食事する 1 JAMAIS(ジャメ) 北浜 »

大阪の近代建築を見直せ!

エンパイアステートビルのポスト学生時代、アールデコが好きで、NYまでビルを見に行った。クライスラービルは、車のラジエーターをデザインした尖塔が有名で、NYでも歩いていると必ず目に入る。建物に入ることができて内部も見ることができたが、屈強な警備員がいて、ちょっと写真は撮れなかった。エンパイアステートビルは、自由に出入りができ、屋上の展望台にまで上がった。この展望台は外に出ることができて風に当たりながら、100階以上の高さから外を見ることができる。確か、メグ・ライアンとトム・ハンクスが、映画「めぐりあえたら」で待ち合わせをしたところだ。建物の隅々にまでデコのデザインが徹底されていて、そこに宿る信念に心が震える思いがした。ちょっとしたポストのデザインや、壁のタイル一つにまで自信のようなものさえ感じた。

 会社に入ってから、自分の勤務先の建物が結構古く、天井も高くデザインもデコ調だったので喜んでいた。同僚は「古くさい」と嫌がっていたが、ちょうど「モダンシティ再び」という海野弘さんの大阪モダン建築探訪記が出版され、勤務先の建物が載っていた。その本を見て大阪には面白い建物が結構あるのだということを知って驚いた覚えがある。

 今回の大阪アート・カレイドスコープ2007でテーマになっている「大大阪時代」は、まさにアールデコの時代であり、大阪でその当時建てられたいわゆる「近代建築ビル」がアールデコそのものである。

「大大阪のアール・デコ建築ーアール・デコの世界的潮流と近代大阪ー」 というイベントがあったので参加してきた。

その時のゲスト、建築史家、横浜国立大学院教授の吉田鋼市さんのお話の内容のあらましを載せることにする。聞き間違いなどがあればお許しを。

 吉田

   左から、三木氏、吉田氏、高岡氏


「大阪のアール・デコ建築ーアール・デコの世界的潮流と近代大阪ー」

ゲスト:吉田鋼市(建築史家、横浜国立大学院教授)

聞き手:三木学(ライター、大オオサカまち基盤) /高岡伸一(建築家、大オオサカまち基盤、大阪市立大学特任講師)

大大阪のアールデコ建築

1930年代の両大戦間に、次に来る戦争の恐怖を感じながら、享楽の時代があった。それがアールデコの時代と言われる。

その頃には、映画やジャズ、カクテルなどというものが流行った。大航海時代もその頃である。 建築の世界では、鉄筋コンクリートの建物にタイルのような造形物を貼り付けた建物が現れた。

その特徴は。丸と三角、四角の組み合わせであった。

そのモダンな造形は同時代的にすぐに世界中に広まった。 それは、モダニズム以前では最初のグローバリズムと言えるが、各国では、それに各国の土着の文化が付加された。アステカ、マヤ、アボリジニ、日本的なものなど。

アールデコは、1925年のフランス、パリでの博覧会が始まりだと言われる。 その博覧会には、フランスの百貨店が多数出展した。その頃の百貨店は、デザイナーを抱え工房を持っていた故にそのようなことができた。 その建物の特徴は、スクラッチタイルを外壁に使い、華やかだった。好んで使われた模様は、青海波(せいがいは)と言われる波状の円、放射光線状の模様、八角形、噴水のイメージなどである。 アールヌーボーはリアルであったのに対し、デコは簡潔で単純、作家性を追求しない。

博覧会に、日本は和風家屋を出展したが、アメリカは「モダンなものがないから」という理由で出展しなかった。しかしながら調査団を派遣し、国内に取り入れたのである。その後、NYなどでアールデコを取り入れた建物が展開された。

アールデコは、同時代的世界中に広まったためにフランスを始めとして、海外のどの街でも見られる。中国などのアジアにもある。

いずれも先に述べたような、8角形や青海波といったデザインを取り入れ、どれもとても美しい。見ていてとても楽しい。その楽しみのために世界中へ出かけていってしまう。

大阪の近代建築

芝川ビル横浜では沢山の近代建築が壊され、ほとんど残っていない。銀行が合併すると、近隣の古い方の建物が壊される。結果として新しい普通のビルが残り、近代建築が失われる。

1980年には900あった建物が、いまや半分である。

今横浜ではC、D級の建物でも残そうという動きがある。 横浜では「横浜認定歴史建造物」として修理などに補助金を出している。立て替えの際でも、古い建物を残すと、行政からの補助が受けられる。容積率の緩和や金銭的な補助がある。それも6~7千万という額である。

大阪にはユニークな近代建築が沢山残っている。芝川ビル(写真)は、ライトが使っていたような、インカやマヤを取り入れている。また、府庁にはイスラムの様式がある。中央電気倶楽部は、独特の遊びが見られる。大阪のデコは非常に濃く面白い。

世界的にもデコに関するソサイエティが生まれ活動している。アールデコは見ていて理屈抜きに楽しい。

大阪には多数の近代建築が残されている。このビル達を是非残して欲しい。

 

この講演の進行を行った「大オオサカまち基盤」の取り組みについても聞き手のお二人から紹介があった。建築家などの専門家だけでなく、パティシエやライター、エンジニアなどのメンバーが、ゆるい活動で近代建築を見直す事をやっているという。大阪市内の消防署がイタリアンレストランに変わった例がある。ちょうど先日行ってきたばかりだが、とてもいいお店で、建物の持つ歴史的な意味もわかって営業されていた。その建物の保存活動も、大オオサカまち基盤が楽しみながら独自に行っていて、それが今のお店に結びついたらしい。

講演の後、久しぶりに「モダンシティ再び」を開いてみた。ホンの少し前の事だと思うのに、その時には確かに存在していたそこに書かれてあるビルのうち、既にこの世に無いものがいくつもある。かって僕が働いていたそのビルも今はない。大阪が光り輝き、皆が自信を持っていた大大阪の時代を取り戻すため、大阪に今も残る近代建築と市民の活動が、何かのムーブメントのきっかけになってくれればと思う。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.osakabookmark.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/114

コメント

古くからの大阪建築ファンです。先日の吉田先生の講演会は残念ながら参加できませんでしたが、このブログで概要を知ることができました。ありがとうございました。アールデコでは大丸が有名ですが、紹介されたものがありますか?

真@tokyoさん、こんにちは。
大丸いいですよねえ。
1Fのエレベーターホールはいつ行っても見とれてしまい、しばし時を忘れます。
大丸のサイトで少しだけ建築のことについて触れていますよ。孔雀のマークの持つ意味などですけど。

私のブログで過去に館内の写真を掲載しました。よかったら見てください。

http://www.osakabookmark.jp/blog/archives/2006/10/post_18.html

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

 

お薦め

   
              
Coyright(c) 2006 Osakabookmark.jp All Rights Reserved.